ダイセル生産方式

生産革新の方法としては、トヨタ生産方式が有名です。


しかし、この方式、私が以前携わっていたような化学系の企業のようなプロセス産業の人間にはピンとこないところがありました。


組立加工型のトヨタ方式は、すべての製造過程が現場の作業員の目で確認できるため、不良品を発見すると生産ラインを止めて直ちに対処できます。


この組立加工型の場合、異常が発生すると工程をすぐに停止し、対処した後にすぐに再開できます。


しかし、化学産業はプロセス産業とも呼ばれ、原料から最終製品までの製造はパイプラインやタンク類等の中で行われます。


このため、オペレーターは製造過程を直接目で確認するのではなく、ボード作業と呼ばれる、化学プラントの各製造工程における温度・圧力・液面レベルなどの状況をモニター画面に表示されるデータで管理しています。


したがって、化学プラントの場合は、操業を停止すると、操業の再開には、不安全であるだけでなく、多くの時間とエネルギーを必要とすることから、異常発生は生産性を大幅に低下する要因になります。

 
このように、プロセス産業においては、いかに安定的な操業を連続的に運転できるかといった新たな「生産革新」方式が求められていたのですが、それをブレイクスルーすような生産方式が既に日本にあったのですね。


この間、偶然ある調べものをしているときに知りました。それが、ダイセル生産方式です。


このダイセル生産方式の手法を大まかに見ると次のような3段階の手順を踏む。

(1)最初に徹底的に業務の見える化を実施する(ミエル)

(2)そこで表面化したムダを何より先に取り除く(ヤメル)

(3)カイゼン活動に入る(カワル)


中小企業診断士試験や技術士試験の経営工学部門で出題される生産関連の出題は、組立加工型がほとんどである。


幅広く生産技術や生産管理手法を押さえるという意味では、この方式も、もっと拾い上げてもいいと思うのだが・・・


この生産方式は、経済産業省の調査対象にもなり,2007年に生産革新研究会が設置されており、その生産革新研究会の報告書「化学/プロセス産業における革新的生産システムの構築 〜新たな生産方式の胎動〜」が公開されています。


さらに詳細を知りたい方は、そちらの方も参考にしてください。