生産系コンサルタントの道 Wライセンス取得の奨め(13)
ちょっと間が開いてしましましたが、昨年の中小企業診断士第2次試験事例Ⅲの解法の続きです。
前回は、設問文、与件文を読み終えたところまででした。
では、実際に解いていきましょう。
第1問 自動車業界におけるC社の強みを(a)欄に、弱みを(b)欄に、2つずつ、それぞれ20文字以内で述べよ。
これは、環境分析の問題ですね。ここでの縛りは、「自動車業界における」ですね。ですから、家電部品事業をしていたころではなく、自動車部品メーカーであるX社やY社に対しての強みや弱みと考えれば良いでしょう。
自動車業界における強みに関して書かれている内容は、
10■X社からは、金型プレス加工および樹脂成形加工の両部門を有していること、それらの金型が内製されていること、そして生産設備の改良・改善技術を有していることをなどが評価された
より、
(a)【強み】の解答例
■金型プレスと樹脂成形の両加工ができること。
■生産設備の改良・改善技術を有していること。
一方、弱みについて書かれている内容は、
13■C社の近年の業績は、国内完成車メーカーの動向に影響されて、受注量の減少傾向が続いている。
14■また、ハイブリッド車、電気自動車の普及によって、金属プレス部品である駆動制御系部品の需要が減少する恐れもある
より、
(b)【弱み】の解答例
■国内完成車メーカーの動向に影響されること。
■技術革新により需要減少の可能性があること。
第2問 Y社から迫られている生産設備および工程の移管計画は、現在具体的な協議が進められている。
(設問1)
この計画で最も大きな問題は、Y社から提示されている厳しい契約単価である。この計画でコストダウンを行い、利益を確保するために必要な具体的方法を120字以内で述べよ。
これに関して、書かれている内容は、以下のものがあります。
17■この移管計画は、Y社と協力して生産リードタイムを短縮すること、そしてコストダウンを図ることの2つを目的にした計画である
18■Y社で組み立てをしていた電子部品の生産工程を見直し、Y社に代わってC社内で組立工程まで行えるようにするものである
19■この組立工程は、それぞれの専用設備にオペレーターが着いて行われ、加工工数が多く、しかも高度な技術を要する組立工程である
21■以前からこの部品加工時の材料歩留まりが悪いことも指摘されており、現状の生産方法を続けるだけではC社が十分な利益を確保するのは難しい状況にある
22■Y社とC社では、この移管計画を機に、製品設計変更なども含むVE提案を完成車メーカーに対して行うことも検討している
コストダウンとは、費用を下げることです。
費用の内訳は、大雑把には、加工賃と材料費と見て良いででしょう。この与件文では、「加工賃に対しては組立工程は、それぞれの専用設備にオペレーターが着いて行われ、加工工数が多く、しかも高度な技術を要する」が語句としては対応しています。また、「材料歩留まりが悪いことも指摘されており」が、材料費に対応しています。
ですから、コストダウンを行うには、オペレータ数と加工工数を減らし、簡単な組み立て変え、材料歩留まりを上げれば良いことが判ります。これを実現するための具体的方法を記載すればいいわけです。
第2問 (設問1)解答例
コストダウンを行い、利益を確保するために、生産効率を上げオペレータを削減し、材料歩留まりを向上させる。具体的には、VEにより、加工や組立が簡単な構造に設計変更を行う。次にその変更に合わせ生産設備の改良・改善を実施することで実現を図る。
ちょっと、長くなったので第2問 (設問2)からは次回とします。