これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。
今回紹介する本は、伊丹敬之著、「日本企業は何で食っていくのか」です。
著者は、「この本は東日本大震災が書かせた本だ」と言っています。
福島第一原発の問題で電力不足が懸念され、これから先の日本の製造業等の行く末が心配される中、筆者は産業界も含めた日本の復興を願い本書を書いたものと思われます。
- 作者: 伊丹敬之
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/05/25
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (6件) を見る
新書ですが、なかなか読みごたえもあり、中身も凝縮された良書だと思います。
著者は本書の中で、これから「日本企業は何で食っていくか」について、次の6つを提示しています。
1)日本企業は電力生産性で食っていく
2)日本企業はピザ型グローバリゼーションで食っていく
3)日本企業は複雑性産業で食っていく
4)日本企業はインフラで食っていく
5)日本企業は中国とともに食っていく
6)日本企業は化学で食っていく
電力生産性と言うのは、なかなか目の付け所が鋭いなと思いました。
これは単位電力当たりの生産性を表わしたもので、少ない電力で生産性の高いものが電力生産性が高いことになります。
また、ピザ型グローバリゼーションはドーナツ現象と対比させている造語で、国内にも工場を残し、グローバル化を図ることのようです。
複雑性産業とは、モジュール型とすり合わせ型の製品だったら、すり合わせ型の製品にように、いろいろな要素が組み合わさり、ノウハウが必要になるような産業のことのようです。
これからの日本の産業の進むべき道をきちんと示しており、ここに掲げられている提案は、多分大勢の人が感覚的にもそう感じていることなのではないかと私は思っています。
と言うのは、読み終わってかなり自分の考えていたことをきちんと整理してもらったような感じだったし、これらは技術系の人たちと話しているときには出て来るような話題に集約していたからです。
非常に面白い本でした。
一読をお奨め致します。