コストダウンのポイント(4) 原価見積の計算方法

コスト分析を行うためには、製品(部品)のコスト(原価)を見積らななければならない。


ここでは、材料費、加工費、償却費など、単一製品(部品)のコスト見積の計算方法について説明する。


【材料費】

<材料費の計算式>

材料費=材料単価×材料使用量

材料費は、製品コストの中でも費用の発生が明確なものである。


上式を見て分かるように、以下の2つについて調べておく必要がある。

(1)材料単価
(2)材料使用量


部品加工に多く用いられる加工法のプレスと射出成形の材料費の求め方を示しておく。


<プレス部品>

材料費={(投入重量×材料単価ー廃材代}×(1+不良率)

ここで、
投入重量=幅(W)×ピッチ(p)×板厚(t)×比重

廃材材=(投入重量ー製品重量)×廃材買取単価


<射出成形部品>

材料費=製品重量×材料単価×(1+不良率+スプルー・ランナー重量比率)

ここで、
スプルー・ランナー重量比率=スプルー・ランナー重量÷1ショット重量
(ホットランナーの場合はゼロ)


【加工費】

<加工費の計算式>
加工費=加工時間×加工費率

この式からわかるように、事前に以下の2つを調べておく必要がある。

(1)加工時間:製品(部品)1個あたりを生産するのに要する時間

加工時間(個/時間)=(段取り時間+正味加工時間)/生産数量

(2)加工費率(チャージレート)

加工費率(円/時間)=工程費用÷(段取時間+正味加工時間)
          =各工程費用(人件費、減価償却費、経費など)/設備台数(工程の人数)×1台当たり年間稼働時間(1人当たり年間労働時間)×稼働率
(カッコ内は、人がメインの組立作業などの場合)


減価償却費】
将来に渡り、事業で使用される設備投資を毎年度の費用として適切に割付ける会計手続きのこと。
減価償却費を計算するには、固定資産(設備等)取得価格、耐用年数、残存価格等を把握しておくことが必要になります。
耐用年数は、法律で定められた期間を用います。
減価償却の計算方法としては、定額法と定率法の2つがある。
サプライヤーで当該製品を生産している設備の費用を概算するためには、覚えておくべき知識です。

減価償却費の計算方法>
1)定額法:定額法:耐用年数期間、毎年一定額を償却していく方法
  
  減価償却費=(取得価格-残存価格)÷耐用年数

2)定率法:耐用年数期間、一定の比率で償却していく方法

  減価償却費=未償却残高×償却率
  ここで、
  未償却残高=取得価格-累計減価償却
  償却率:耐用年数ごとに、減価償却資産の償却率表で確認のこと。平成19年3月31日以前取得と平成19年4月1日以後取得では、償却率が異なる。


ここで、述べた費用計算の方法を用いて、サプライヤーより入手した見積コストの妥当性を分析することになる。