生産系コンサルタントの道 Wライセンス取得の奨め(12)

今回と次回の2回にわたって、過去問を使用して今まで説明してきた内容に沿って解法のアプローチをしてみたいと思います。


取り上げる過去問は、平成22年度の事例Ⅲにします。


まず、問題冊子を開くと3ページの設問を読み始めます。



第1問 自動車業界におけるC社の強みと弱みを2つずつ述べよ。


これって、環境分析だから、与件文の中に答えがあると推定、但し自動車業界という縛りあり。



第2問はY社から生産設備と工程の移管計画が具体的に協議が進められている前段文、そして


(設問1) この計画でコストダウンを行い、利益を確保するために必要な具体的方法・・・この計画にアンダーラインをし、与件文でどんな計画なのか確かめることをチェック



(設問2) この計画の実施によりC社の生産現場に混乱が予想される。予想される混乱の内容と対策・・・ということで、この計画がいかなるものなのかが、第2問ではポイントだなと感じる



第3問 これも前置きとして、Y社からの生産設備および工程の移管計画には、生産リードタイムの短縮、コストダウンの2つの目的がある、の文章。そして、これらの目的を達成するためにY社と共有化すべき生産管理に関する情報をは何か。

ということで、それぞれについて具体的な情報データ項目が問われている。



第4問 X社からの要請で中国進出計画が進展。この計画に関してC社の技術を生かした独自の経営の方向性と対応策についてのアドバイス

独自の経営の方向性と対応策にアンダーライン



さて、1ページに戻り、与件文を読み始める。


ここでは、分かったことは、

【C社の概要】
1■C社は自動車部品業界では2次部品メーカー

2■製品開発や営業を選任する部門はない

3■新規営業解約は社長自らが担当

4■現社長が、プレス加工技能者の育成、プレス金型の内製化、設備の改良・改善によるコストダウンなど社内改革を実施

5■品質保証、環境管理の標準化を達成

6■家電メーカーからも高い信頼を得て家電部品事業は拡大した

7■家電製品の生産が海外に移転し、C社の受注が激減

8■現社長は、家電業界の海外移転を早くから予測し、将来の事業の方向性を探っていた

9■ちょうどその時期に、自動車部品メーカーのX社の紹介を受けた

10■X社からは、金型プレス加工および樹脂成形加工の両部門を有していること、それらの金型が内製されていること、そして生産設備の改良・改善技術を有していることをなどが評価された

11■現在の主な生産品目は駆動制御系部品、電子制御系電子部品に使われる金属プレス加工部品と樹脂成形加工部品

12■1次部品メーカー2社(X社およびY社)から受注、生産、納品している

13■C社の近年の業績は、国内完成車メーカーの動向に影響されて、受注量の減少傾向が続いている。

14■また、ハイブリッド車、電気自動車の普及によって、金属プレス部品である駆動制御系部品の需要が減少する恐れもある



【取引先からの協力要請による事業計画】
15■現在、取引先である1次部品メーカー2社からそれぞれ新たな生産協力などが迫られている

16■1つはY社からの生産設備および工程の移管計画である

17■この移管計画は、Y社と協力して生産リードタイムを短縮すること、そしてコストダウンを図ることの2つを目的にした計画である

18■Y社で組み立てをしていた電子部品の生産工程を見直し、Y社に代わってC社内で組立工程まで行えるようにするものである

19■この組立工程は、それぞれの専用設備にオペレーターが着いて行われ、加工工数が多く、しかも高度な技術を要する組立工程である

20■この移管計画で最大の問題は、Y社から提示されている厳しい契約単価である

21■以前からこの部品加工時の材料歩留まりが悪いことも指摘されており、現状の生産方法を続けるだけではC社が十分な利益を確保するのは難しい状況にある

22■Y社とC社では、この移管計画を機に、製品設計変更なども含むVE提案を完成車メーカーに対して行うことも検討している

23■もう一つは、X社からの中国進出の要請である

24■中国国内での生産拡大を狙う完成車メーカーからの中国進出の要請があった

25■そこで生産される部品にC社の加工品が使われ、加えて中国国内では得にくい金型技術が高く評価され、X社とともに中国進出しようとするものである

26■すでにC社も中国沿海地域に工場用地を確保し、X社の駆動制御系製品の組立工場に隣接して、C社が金属プレス加工工場と金型工場を建設し金属プレス部品をX社の組立工場に供給する計画である


さて、ではどのように解いていくかは次回をお楽しみに!!