これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。
今回紹介する本は、新井紀子著、「AIに負けない子どもを育てる」です。
つい先日、本書の前著である「AI vs. 教科書を読めない子どもたち」を読みましたが、本書はその続編です。
前著では、東ロボプロジェクトを通して、AIでは東大に合格できる見込みのないことを述べていました。
それは、統計と確率処理で数値でしか処理できないAIには弱点があるからで、それは人間のように文章を読解する能力を持ち得ることがないからだということでした。
しかし、その読解力がかなり落ちている。
そのために、読解力をきちんと測定できるテスト、RSTを開発したということでした。
本書では、そのRSTを行った結果やまた読解力を増すために小中学校の教育をどのように行うのが望ましいかを解説しています。
実際にRSTテストの簡略版も付いており、自分の読解力の程度も知ることができます。
本書の中では、現在の小中学校の中の授業の様子も言及されているのですが、板書をノートに書き写すという行為自体が今はなくなっているということにビックリしました。
読解力を付けていくために、板書をノートにするその速さについての言及があるのですが、こんなところにも読解力の差が出てくるのだなぁという着眼点と、その説明もされているのですが、ああ、確かにそうだなと説得力がありました。
著者の主観と論理から導き出された幼児・児童時期の教育のあり方は、読んでいて、頷ける部分が多くあり、孫を持つ娘夫婦にも本書を読むことを勧めたいと思いました。
これからの日本の教育を考える上で、多くの人に読んでもらいたい本です。