架空通貨

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、池井戸潤著、「架空通貨」です。


この本、面白かったです。


内容がしっかりしているのもあるのですが、今まで読んだ池井戸作品と異なり、出てくる企業城下町の長野県田神町の描き方が、重苦しく、暗い。


これが、ずっしりと話の中でも活きてきます。


架空通貨 (講談社文庫)

架空通貨 (講談社文庫)


女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻したことより、元商社マンの社会科教師の辛島は、その真相を確かめるために動き出すところから話が始まります。


いろいろな登場人物も出てきますが、それぞれの個性をきっちり描いているところはさすがです。


話に深みが出てきます。


終わり方はスカッとしたものではないのですが、やはり、この企業城下町の描かれ方と連弩しており、腑に落ちるエンディングです。


もともとの題名は「M1]、マネーサプライを意味するタイトルだそうですが、「架空通貨」も、内容を読むと理解できると思います。


やはり、池井戸作品は面白いです。