BT'63

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、池井戸潤著、「BT'63」です。


やっと読み終わりました。


面白い小説なのに、読むのに時間がかかりました。



本書、今まで読んだ池井戸作品と比較すると、軽妙な感じではありません。


とても重いんです。


そして、暗く、恐ろしい。


主人公が、過去に遡り、父の知られざる過去を見るというのはSFチックもあります。


特に上巻は、現在、過去と話の流れを掴むのに時間がかかってしまいました。


下巻になると、スリリングな展開が幾度か出てきます。


特に裏社会に生きる成沢、猫寅は、読んでいるだけで、こちらも怖くなってくるような人物として、描かれています。


読後の爽快さはあまり感じられませんでしたが、主人公が一区切りをつけ、新たな人生を歩み始めていくのだと思います。


これまで、読んだ作風と違いますが、様々な登場人物像がきちんと描かれているのは、さすが池井戸潤と感じました。