先日、産業サポートスクエア・TAMA開設一周年の講演会に行ったときに、日本の企業では今後生産技術の強化が必要と考えているということが話されていた。
これを聞いたときに、ようやく気がついたかということだ。
私は、企業に在籍していたときには、生産技術をやっていた。
生産技術というと製造現場との繋がりが強調されるが、実はそれだけではなく、開発・設計から始まり、素材の選定、品質の見極め、そして生産の立上げ等、幅広く技術分野を扱う職種だと、実体験から私は考えている。
このところを10年ぐらい前から、勘違いしている経営者が多かったように見受けられる。
新しいものを開発するという観点で、生産技術より開発に力点を置くようになったのではないだろうか。
しかし、生産技術を担当していた者たちの自負としては、最後は自分たちの手を経て、製品は世に出されるということがあった。
グローバル化が進み、海外での開発・設計なども展開されるようになってきた中、技術のブラックス・ボックスを持たなくては、競争優位には立てない。
その中で、その優位性を保つための手段の一つが生産技術力の強化であると考える。
製品は、企業の外に出て人の目に触れることになるが、生産、製造は社内の中でクローズドで実施することができるから、企業がいの人の目の触れることも防止することができる。
だから、技術のブラック・ボックス(=ノウハウ)を保てる訳だ。
今後、日本の製造業が生産技術に力を入れることで、再び技術大国へ飛躍することを祈願したい。