生産系コンサルタントの道 Wライセンス取得の奨め(18)

これから、私が受験した平成21年度の技術士第2次試験の受験体験を通して解答のプロセスを考えていきたいと思います。


今回は、午前(必須科目)について書きます。


解答用紙、問題用紙が配布され、「始めて下さい」の合図。


まず、問題用紙のページを捲って、問題を読み始めます。


「Ⅱ 下記の記事を読み、各自の視点を定めて、次の問いに答えよ。(1)不安定さを増す事業環境を改善するために、解決すべき課題を設定せよ。 (2)設定した課題の解決方法について述べよ。  各自の視点は、次の5項目(問題番号;Ⅱ−1〜Ⅱ−5)の中から1つ選び、答案用紙に解答番号を記入して3枚以内にまとめよ。」


視点のⅡー1〜Ⅱ−5を見ると、経営工学部門の各専門科目が書かれています。ここは迷わず、自分の専門科目である「生産マネジメント」に視点を設定しました。


そして、問題文をザーッと一瞥すると、最後に、出展:日本経済新聞2009.3.16朝刊の文字を見つけました。
なんと、問題文は新聞からの抜粋です。


正直言って、このときは嬉しかったです。なぜならば、確実に応用力を確認するための問題です。それも新聞記事からの時事的な話題を取り上げ、それを経営工学視点的で捉えなくてはいけません。


従来ですと、各専門科目毎に問題が出されていたのが、問題は一つで専門的視点での解答を求めているところに、力の出しどころを感じました。


まあ、これは後から振り返るとそう感じてますが、現場では、新聞記事から問題なんて、今までになかったパターンだな、と思い、頭から記事を読み始めました。


一回通しで読んでざっと内容を頭に入れ、二度目は、関連しそうな箇所を鉛筆で薄くアンダーラインを引きました。


今、問題用紙を見てみると、アンダーラインを引いてある言葉は、以下のようなものです。

・資本集約型に変質したことだ。

・価格支配力

・需給次第

地政学リスク

・資本集約型のビジネス

・市場がグローバル化する中で世界展開を急げば、投資はかさみ、固定費は高くなる。

・資源価格が再度上昇する局面

・一つは自己資本を厚くし、変動に耐える基礎体力を養うこと

・もう一つは横並びではないオンリー・ワンの商品やサービスを開発することだ


これらをキーワードやキーフレーズとして用いるように、答案作成を行うことにしました。


記事では利益が出ていないことを問題にしていたので、解決する課題は、「資本集約型ビジネスとして、いかに利益を確保していくか」と設定しました。


生産マネジメントの視点から解答を作成するということを念頭に置き、絞り出した切り口は、生産の3機能である「設計、調達、生産」の3つ観点で、それぞれどうあるべきかを抜き出したキーワード・キーフレーズを絡めて文章を作成しました。


文章の構成となる骨子は、「資本集約型ビジネスとして、いかに利益を確保していくか」ということですから、冒頭に導入文を書き、「設計、調達、生産」の3つの観点で書くことを宣言し、各観点を一項目として、それぞれの文字数をおおよそ決めてから、論文作成に着手しました。



解答の進め方は、
1)課題設定
   ↓
2)専門分野からの課題の解決にふさわしい切り口の選定
   ↓
3)各切り口と記事内容の結びつきを考え、各項目の文章構成を考える
   ↓
4)各項目との一貫性がある冒頭文、結論文を考える
   ↓
5)答案用紙に文章を書く


答案作成時は3)〜5)が行ったり来たりの状態にはなりました。


時間としては、ほぼいっぱい使いました。


最後の5分間が言葉遣いや誤字・脱字等のチェックでした。


この問題は、知識の応用もありますが、論理的な文章力が必要なのではないでしょうか。


合格しているから、言えることですが、論理的な文章構成には気を使いました。


それは、何かというと、まず矛盾がないこと、次に一貫性があることです。


こういうと中小企業診断士第2次試験の学習をされてきた人は、中小企業診断士第2次試験の解答作成時のチェックポイントと同じように思えませんか。


これが、実際に技術士第2次試験を受験し終わって感じたことで、この「生産系コンサルタントの道 Wライセンス取得の奨め」シリーズを書こうと思った動機にもなっています。


では、次回は同様に、午後(選択科目)について書きます。