生きる哲学 トヨタ生産方式

読書本の紹介です。岩月伸郎著、「生きる哲学 トヨタ生産方式 大野耐一さんに学んだこと」です。


著者は、トヨタ自動車に入社し、大野耐一氏から直接指導を受け、張富士夫氏らと共に、社内やグループ会社へのトヨタ生産方式の導入に携われた方です。2001年からはデンソーの常務取締役に。その後、専務、副社長などの要職を歴任され、現在は顧問に就任されています。


この本を読んで感じるのは、大野耐一氏のモノの見方の凄さ。決して、近視眼的にはならず、常に大局を見て、先を見ているのには、ただ、ただ感心するばかりです。


そして、人を見る目と育て方でしょうか。
一見すると、突っ放しているように見えますが、その人を信じ、任せ切るということは、相当腹が据わっていないとできないことです。


生きる哲学 トヨタ生産方式―大野耐一さんに学んだこと (幻冬舎新書)

生きる哲学 トヨタ生産方式―大野耐一さんに学んだこと (幻冬舎新書)


本の中で、「”100%良品”。それが絶対だ」「必要数を計画に置け。造れる数量を計画に置くのではない」などの言葉が出てきます。


これを達成するためには、生産技術と現場の製造技術が相当のレベルに達していないと実現できるものではありません。


トヨタ生産方式で、凄いと思うところは、この目標設定です。二律背反の条件のもと、不可能とも思える生産課題について、智恵を出し、工夫を重ねることで、それをクリアしていく。


この姿勢は、今の日本の製造業には必要なのではないでしょうか。


著者の目を通して、トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏や育ての親である鈴村喜久男氏、そして牽引役の張富士夫氏らの改善への取り組みへの一端を知ることができます。


やはり、何を進めるにもマインドの部分は大事なのですね。