人を助けるとはどういうことか

読書本の紹介です。エドガー・H・シャイン著、金井真弓訳、金井壽宏監訳の『人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則』です。


人を助けるとはどういうことか、どうしたら、あの人の役に立てるだろう?


この本では、あたりまえすぎて見過ごされていた「協力関係」の原理原則を、組織行動論の権威者であるエドガー・シャインが、奥さんに対する看病・支援などの身近な事例から、わかりやすく提示しています。


皆さんも、思い当たることがあると思いますが、自分では「親切のつもりで」、あるいは「相手の助けになるように」と考え、とった行動が実は相手にとってはそうでなかったということは多いと思います。


これは決して仕事のなかだけではなく、日常生活でも、誰もがこのような体験をしているはずです。


この本では、なぜ、こうした相手との食い違いが起きてしまうのか。起こらないようにするには、どうすればよいのか。起きてしまったときには、どんな措置を講ずればよいのか。という問題に対して答え、解説してくれます。


人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則


この本の根底に流れているのは、プロセス・コンサルテーションという手法です。巻末には「プロセス・コンサルテーションの10の原則」も併記されています。


したがって、この本で提案する「支援」とは、こちらから一方的に相手へ「押し付け」するような支援ではありません。あくまで、相手の成長につながるプロセスをともにする、という考え方です。


「支援」の原理原則の解説とともに、実際我々がそれを実践する際のコツ、また具体的な質問の仕方なども織り交ぜて、実用的なエクササイズガイドとなっています。


監訳者の解説として、金井壽宏さんが書かれていますが、本書を是非読んでいただきたい読者層としては、支援する側としてコンサルタント、ソーシャル・ワーカー、医者、看護師、介護福祉士、教員(小学校から大学院レベルまで)、各種コーチなど。また、支援されるがわとして、患者、介護を受けている人、生徒など。あらゆる人を対象としています。


考えてみれば、そうだろう。人は絶えず、誰かと支え合って生きているのだから、そこには役割として、支援する側と支援される側を必ず演ずることになります。その時、お互いの行き違いなく、気持ち良くできるためにも、本書を読まれることをお奨めします。


これは、我々、中小企業診断士のようなコンサルタント業の方には必携の書であると思います。