プレミアム戦略

眼科に行ってきました。炎症を起こしているということで、2種類の点眼薬をもらいました。
点眼してからは、痛みが和らいだような気がします。(単純なんだから、と妻に言われています。)


読書本の紹介です。遠藤功さん著の「プレミアム戦略」です。
「現場力を鍛える」、「見える化」などどちらかというと製造業のオペレーション関係の著書を手がけられていたので、このようなマーケティング戦略関連の本も書かれるのか、という興味で手に取った1冊です。


本書では、戦略としてプレミアムを考えるということで、日本企業が、なぜプレミアム市場で存在感が示せないのかを、欧米のプレミアム商品の事例を見つつ、最後に日本企業として、どのような方向性が考えられるかを示しています。

6章構成になっており、第1章では「高いもの」が売れるというプレミアム消費の現象面について考察しています。
第2章では、プレミアム消費を形成する2つの断面を論証しています。
第3章では、現象面の裏にあるプレミアムの本質、プレミアムが生まれるメカニズムを欧米のプレミアム・ブランドとともに検証しています。
第4章では「日本発のプレミアム」が育たない背景を探り、プレミアムの市場性を検証しています。
第5章では、プレミアムを戦略とする場合に求められる発想転換、基本原則につて言及しています。
第6章では「日本発のプレミアム」を生み出そうとしている実践事例を7つ紹介しています。


プレミアム戦略

プレミアム戦略


プレミアムを考える場合、「機能的価値」と「情緒的価値」の2軸で捉えて、両者の価値がそれぞれ高い部分がプレミアムであり、さらにそこにプラスアルファの加味されるという着眼は、面白いです。


「日本発のプレミアム」を阻む壁としては、次の4つのものがあると著者は述べています。
1.舶来信仰
2.「御用達」制度の廃止
3.大量生産・大量販売という産業政策
4.デザイン性より機能性重視の思想


戦略としてプレミアムを考えた場合、ポーターの競争戦略に当てはめると、プレミアムとは「差別化戦略」ではなく、プレミアム・ニッチを狙う「集中戦略」だという着眼も、なるほどと思います。


さらにプレミアムで成功するためには、日本企業は3つのパラダイムシフトが必要であると、著者は述べています。
1)「たくさん売ろう」としないこと
2)「カスタマー」ではなく「ファン」を作る
3)「マーケティング」ではなく「ストーリー・テリング


プレミアム戦略策定のための8つの原則は、以下の通りです。
[1]「作り手の主観」こそがプレミアムの命
[2]常に「モダン」でありつづけること
[3]派手な広告・宣伝はしない
[4]飢餓感・枯渇感を醸成する
[5]安易な拡張は行わない
[6]販路を絞り込む
[7]細部にこだわる
[8]グローバルをめざす


中小企業の場合も、ほとんどがニッチな部分での勝負になります。ここで述べられている考え方は、そのままは当てはめられませんが、コンサルティングするときの参考にしたいと思います。