株式会社の終焉
これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。
今回紹介する本は、水野和夫著、「株式会社の終焉」です。
面白い本でした。
- 作者: 水野和夫
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 新書
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第1章では利子率と株価のことが書いてあります。
従来は、株価も利子率も景気の尺度であったが、グローバリゼーションが進んだ21世紀になると、その様相が変わってきたそです。
「株価」は「資本帝国」のパフォーマンスを表す尺へと大きく変貌してしまったとのことです。
確かに、アベノミクスで「株価」が上がっているとは言うものの、市民の間では景気が回復している実感はないのは、こういうことなのかなと思いました。
また、供給過剰になった今は成長を求めて投資をしたとしても、それは不良債権になってしまうとも言っています。
そして、第2章では、株式会社の生い立ちを経済論とともに歴史的に俯瞰しています。
イノベーションを中心とした成長戦略は「より速く、より遠く、より合理的に」の時代のマクロ政策で、アフリカまで進出してしまった今はもう拡張より収縮していかなくてはならないことを述べています。
最後の第3章では、今後株式会社はどうしていくべきかについて、その方向性を示しています。
拡張を求めるのではなく、収縮を認めてもいいではないか・・・とうのが著者の論点です。
そのために配当をやめる、減益計画の策定などグローバリゼーションから「よりゆっくり、より近く、より寛容に」していくことが大事ではなかろうかと述べています。
本書を読んで思ったのは、この通りなら、無理して成長を求め続けなくてはいけないという呪縛から解放された方がいいのではいだろうか・・・というより、それにこだわり続ける必要があるのかということです。
そして、「よりゆっくり、より近く、より寛容に」というのは、なんか「日本でいちばん大切にしたい会社」に出てくるような企業と通ずるところがあるような気もしていました。
本書は、今のグローバル経済に対しての見方、考え方について一石を投じているように感じました。このような視点もあるのだというところで、非常に参考になると思います。
また、アベノミクスに対して、なんとなく違和感を感じている方も読まれると、参考になる部分が多いと思われます。