現場主義の競争戦略

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、藤本隆宏著、「現場主義の競争戦略 次代への日本産業論」です。


この本は、私のように長い間生産技術をやってきた人間にとっては、嬉しいことを述べてると思うし、その考えは正鵠を射ていると思います。



本書は、日本の産業の現場力の強さを再確認し、さらにそれを強化しグロバール化を生き抜こうと提言しています。


まず、製造業を例に、日本の強みは何かを分析しています。


それは、部品やユニットを組み合わせてアセンブリするようなモジュラー型の生産ではなく、各部門がそれぞれ問題を調整しながら、作り上げていく擦り合わせ型の生産が強みを持っていると述べています。


これは、理解しやすいと思います。


テレビはデジタル化になって、日本の勢いはなくなったし、スマートフォン、PCのようなモジュールの組み合わせのモノは、中国、韓国等の方が強みを発揮しています。


しかし、自動車や複写機のような調整が必要な分野においては、日本は強みを発揮しています。


著者は、安易に海外に出るのではなく、日本にマザー工場を残し、そこで擦り合わせ技術に磨きをかけ、他国が追随できないような形で生産の適所を考えるべきだと言っています。


日本の生産技術者にとっては、嬉しい提言です。


本書は、これからの日本のビジネスモデルを考える上で、非常に多くの有意義な示唆が含まれています。


生産に携わっている人だけではなく、小売業、サービス業の方も読まれると良いと思います。


また、中小企業診断士のように様々な職種の企業支援をされるコンサルタントの方も参考になると思います。