トヨタ生産方式でドラッカーの『マネジメント』を読み解く

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、岩月伸郎著、「トヨタ生産方式ドラッカーの『マネジメント』を読み解く」です。


ドラッカーの「マネジメント」とトヨタ生産方式がどのように結びつくのだろうと興味を持って、この本を手にしました。


著者は、トヨタ生産方式の生みの親で大野耐一氏より直接指導を受け、実践してきた人物である。


トヨタ生産方式でドラッカーの『マネジメント』を読み解く (幻冬舎新書)

トヨタ生産方式でドラッカーの『マネジメント』を読み解く (幻冬舎新書)


内容としては、ドラッカーの「マネジメント」で表わされている内容と大野耐一氏の言葉や指導の内容から、その共通性を紐解いていく形になっている。


やはり、本物と思われるものは何か同じ源流のもとにあるのだなということを読んでいると感じることができました。


この内容も良かったのですが、私は著書の前半と後半の部分に書かれている現政権や日銀の経済への対応が日本企業に活力を与えるようなものになっていない、むしろ衰退する方向に向かわせているという悲痛な叫びです。


今の日本企業を縛り付けている六重苦として次のようなものがあると述べています。

1。極端な円高
2.高い法人税
3.自由貿易協定等への出遅れ
4.厳しい雇用規制
5.国際的に不幸な環境規制
6.震災とそれに伴う電力不足の問題

日本の製造業は、特に輸出産業はこれらによって苦心惨憺しているとのことです。


それも国の無策や誤りによって惹起されたり悪化している部分が少ないということを指摘しています。


また、日銀の円高対応に対しても苦言を呈しています。


これだけ、はっきりと書かれるということは、経営者としても相当に苦慮されていることなんだろうと推測されました。


ドラッカーの「マネジメント」とトヨタ生産方式の共通項を確認したい方、組織経営についてどうあるべきなのだろうかとヒントを求めている方、また日本の製造業の行く末に憂いを持たれている方は、本書を手に取って読まれてみてはいかがでしょうか。