ちゃむの「読書の履歴書」−後編−

大学に入学して、卒業までの間に読んだ本の記憶が残っていない。この期間全く読まなかったのではなく、記憶にあるのは専門書、それも幾何・代数や偏微分方程式などの参考書である。
この期間は、高校後半からの延長で、ジャズレコードを集めることと、田舎の大学なので夏は海、冬はスキー、春・秋は、大学の仲間で同好会を立ち上げて草野球に高じていた。


社会人になってからも、結婚するまでは、そんなに読書はしていない。独身寮だったので、本を買うと置くスペースがないことが一番の理由。また、会社→残業→飲みに行く(スナックなど)→寮のサイクルで生活が回っていたので、本を読む時間がなかったこともあると思う。


結婚後の住まいは社宅であった。2DKなので独身寮と比べたら広いので、置くスペースもできたこともあり、出張等の移動時間の暇つぶしで本を読むようになった。
当時は、主に読んでいたのは新書版で、祥伝社日本文芸社、学研などから出版されているノストラダムスの予言もの、UFO・宇宙人もの、日月神示ムー大陸アトランティス大陸ものなどが愛読書であった。
小説も荒巻義雄さんの「空白のムー大陸」などの空白シリーズや広瀬正山田正紀などのSF小説を好んで読んでいる。


このSFチックの傾向から、ビジネス系へ移行してきたのは、係長になった頃かな。リーダー・シップやモチベーションなどの人を動かすのには、何を考え、どう動かなくちゃいけないのかや決算書を読む、コストダウンを進めるといった、仕事に直結するようなかたちで、本を読んでいたような気がします。
読んだことを実践する、その反応を確かめる、結果を見て次のアクションを取る、なんてことをこの時期していたなぁ、と思います。


今のようなペースで本を読むようになったのは、管理職になったときに部下の指導等の話をしていた時の他職場の管理職の発言。「俺、年間300冊以上本読んでいるから、部下からいろんなこと言われても、負けない。」これは、ビックリ。私もこのときは結構本を読む方だと自覚していたが、彼の読み方には完全に負けていた。いきなり300冊はムリだけど、気合い入れて本読むようにしようと思いました。
こう感じる時までに本読んでいたのは、中小企業診断士試験との出会いだよね。この試験、試験範囲だけは広いから、いろいろなことを吸収しなくちゃならない。だから、おのずと本を読むようになる。


でも、この本読まなくっちゃ、というような義務を感じながら読むのは、苦手である。面白いから読む。それも電車での移動中やトイレの中などの隙間時間に読む。
最近は、何冊かの本を平行して携帯し、気分によって読み分けている。これ以外とお薦めかもしれない。結構、読めます。


以前は、本はきれいに読むものと自分に言い聞かせて読んでいたが、最近は線引いたり、書き込みしたり、付箋挟んだりしている。中小企業診断士のようなコンサルタントの場合、お客様と話をするときの、ちょっとした小話や豆知識みたいなものなど、どんどん自分の引出を設けておかなくちゃならないから、本読むことに体裁など考えていられない。


最後に、私にとって本を読むということは、知らない知識や考え方を知ったり、得たりすることだと思っている。でも、これは本というものを媒介にして、著者という人物と出会うことなのだと考えている。そうすることで、少しでも自分の殻だけに留まることなく、広い視野や考え方を持てるようになれるのではないか、と信じている。