堕ちられない「私」

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、香山リカ著、『堕ちられない「私」 精神科医のノートから』です。


「堕ちる」という言葉から連想されるのは、何か不祥事などを起こして、惨めな状態になることをだろうか・・・


著者は、上昇志向の強いこの世の中で、その志向に抗うことなく生きていくことは、精神的なダメージを受ける、受けてもそれに気づかない、だから「堕ちる」ことの大切さを述べています。



のんびりするために旅行に行っても、分刻みのスケジュールで観光をこなして、結局は疲れてしまう・・・なんて、よくあることで、知らぬ知らぬうちに常に前向きに、ポジティブに生きていこうとすることを我々は目指しているのかもしれない。


それが心の抑圧に繋がる場合もある。


何か気持ちがホッとする、そういうものを求めても良いんじゃないかということが著者の主張なのだろう。


別に周りの人たちと同じでなくても気にしない、そんなことが必要なのかもしれません。


本書は、興味深く読ませていただくことができました。