「嫌消費」世代の研究

読書本の紹介です。松田久一さん著、『「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち』です。


この本は、世代における消費動向を調査・研究し、その結果ある世代に消費を好まない世代があること述べています。


その世代はバブル後世代と名付けられており、その世代が体験した社会的背景より、車やAV機器、海外旅行などへの消費に対して消極的です。


「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち

「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち


この本では、世代を7つに分類している。よく「団塊世代」という言葉は耳にするが、面白いので各世代について特徴等を抜粋してみました。ここで登場する世代は以下の通りです。


少子化時代 1984〜93年生 顕示志向、内閉志向、自己意識が全世代の中でもっとも強い。自分に自身がなく、他者からの承認願望も強いのが特徴。

☆バブル後世代 1979〜83年生 顕示志向が強く、享楽志向が全世代の中でもっとも弱い特徴がある。他者への競争意識が強いが、潜在的な強い劣等感の裏返しでもある。

団塊ジュニア 1971〜78年生 「自由きままな生活」を求め、「一寸先は闇だ」「他人の目を気にせずにいたい」など、厭世的な意識をもつ。

☆新人類 1961〜70年生 他の世代に比べて「普段の生活でストレスを感じている」「ナンバーワンよりオンリーワン」に共感している。

☆断層世代 1951〜60年生 若い世代と団塊世代以上の旧世代の価値意識が転換する節目を作っている。

団塊世代 1946〜50年生 バブル後世代と対照的な関係にある。「自分らしさにこだわり」「周りの意見より自分の意見で行動」するなど、独善的と言えるほどマイペースである。

☆焼け跡世代 1939〜45年生 安心志向が他の世代に比べ圧倒的に強い。自分のことよりも「日本文化」「歴史と伝統」「環境や社会秩序」に維持に関心が向かっている。



バブル後世代の特徴である世代意識はその英吾の頭文字より4Cと呼べるそうです。すなわち、「上昇志向」(Climbers)、「他者志向」(Coinciders)、「競争志向」(Contenders)、「劣等感」(Confused)で、この中で「劣等感」が消費に抑制をかけているらしい。


この世代はこれからの日本を担う世代であるので、その世代が消費が嫌いとなると、これからの日本経済どうなるのかと思ってしまう。


それについては、この本では、最後に需要刺激パターンということで、どうしたら需要を刺激することができるか、いくつかの提案を行っています。


世代間での消費動向や意識の違いを知ることができたのは、非情に面白かったです。やはり、世代間の感覚の違いはあるのだということを改めて感じることができました。それが分析的に語られているので、より理解を深めることができたと思います。


マーケティング関連のお仕事をされている方やコンサルタントの方は、これからのこの世代に対しての消費というものを考える上で、読まれるといいのではないだろうか。