コストダウンの進め−その6−

前回から、ちょっと時間が空いてしまいましたね。前回のおさらいをまずしておきましょう。


前回は部品調達マトリクスを用いて、御社のタイプを知って頂くことだったと思います。

4つの象限の特徴を踏まえて、私の独断で、その会社が注力している取り扱い製品分野で、会社のタイプを次のように名前をつけさせて頂きました。

1)事業の影響度:小、サプライヤの優位性:小:汎用機構部品系ゾーン→凡人(明智光秀

2)事業の影響度:大、サプライヤの優位性:小:汎用デバイス系ゾーン→孤高の人織田信長

3)事業の影響度:小、サプライヤの優位性:大:特殊成型品系ゾーン→職人(豊臣秀吉

4)事業の影響度:大、サプライヤーの優位性:大:カスタムデバイス系ゾーン→天下人(徳川家康


さて、今回は、このマトリクスを使ったタイプのもう一つの見方と、それぞれのタイプはどうしたら良いのかという今後の事業の力点をどこに置くかについてお話してみたいと思います。


まず、もうひとつの見方ですが、これはマトリクスを左右に分けて、Left GroupとRight Groupと呼ぶことにします。

Left Groupは、資材部門が単独でも展開可能な領域で、交渉等で御社に折衝してくるでしょう。

Right Groupは、技術部門との連携が必要な領域で、この領域に御社の取り扱っている製品群が位置しているならば、技術部門を上手く巻き込むことで、価格競争からも逃れることができます。もちろん、そのためにはメーカーの要求に応えるだけの技術力を持っていることが前提条件にはなります。


このことを踏まえると、
☆Rグループの企業:技術提案型営業の強化・・・設計部隊へ接近しろ!
☆Lグループの企業:右派への移行(比率増加)・・・購買部門を囲い込め!(原価データの整備)
が各グループの今後の方向性になります。もちろん、実行するためには、御社のオペレーションの強化が必要になります。



ここで、Rグループ企業に対しての「設計部隊へ接近しろ!」について、少し説明させて頂きます。

何故、このようなことを掲げるのか、その理由として、3次元CADの弊害が挙げられます。

3次元CADは、そのものの形状がわかり、加工データへの転用もでき、便利なようですが・・・実際の現場では以下にあげるよなことが発生しています。

1)加工は2次元図面に変換し実施しているところが多い(公差)
2)加工を知らずに、図面を作成する設計者の増加、また検図も同様な技術者が実施している
3)教育現場、新入社員も3次元CADの流れで、図面(2次元)を書ける設計者が少なくなっている

すなわち、よくわからない設計者が増えたことで、生産現場、生産技術は混乱しています。


ですから、御社のように図面を理解し、加工もわかっている業者の方が、はるかに知識、経験を有しているのですから、この立場を利用しない手はありません。


つまり、コストダウン等の提案を行うことで「敵に塩を送る」こともできるのです。


そのための魔法の質問があります。それは、「これ、何に使うんですか?」や「これ、どうやって使うんですか?」という質問です。
用途や使用目的・機能を聞き出すことで、お客様が気づかない点、改良点を提案できるチャンスが巡ってきます。

これを何回か繰り返していくと、「おっ、この業者使えるな!」となってくるわけです。