コストダウンの進め−その3−

さて、前回は大手メーカーでは、人的な面で苦戦をしいられている話を致しました。しかし、昔と比べると弱くなってきたようには思いますが、大きな企業の強みは、仕組みを作って、それを現場に落とし込み、愚直に進めるところだと思います。


コストダウンを進めるに際に、購入品を分類して、その分類に従ってそれぞれサプライヤーさんへ対応を図ることを実施している企業もあります。
この分類は、2軸、4象限のマトリクスにて行います。
縦軸に、その購入部品、外注品の事業の影響度大小を、横軸にサプライヤーさんの優位性の大小を取ります。これを部品調達マトリクスと読んでいます。各象限について、名称をつけ、その特徴を表すと次のようになります。


1)事業の影響度:小、サプライヤの優位性:小:汎用機構部品系ゾーン
【特徴】☆代替品・サービス多い、☆調達先多い、☆価値低い、☆誰でも買える、☆日常品(特に仕様なし)
購買方針としては、取得プロセスを単純化する、サプライヤーの数を削減するなどして、取引コストの削減を図る


2)事業の影響度:大、サプライヤの優位性:小:汎用デバイス系ゾーン
【特徴】☆高支出領域、☆代替品・サービス多い、☆保証された調達先多い、☆調達は即時可能、☆交渉により価格が大きく低下
購買方針としては、発注側の競争優位性を利用する、全社購買による交渉を実施するなどして、トータルコスト削減を図る


3)事業の影響度:小、サプライヤの優位性:大:特殊成型品系ゾーン
【特徴】☆複雑な製造を必要とする仕様、☆代替品・サービス少ない、☆保証された調達先少ない、☆製品に未実証の技術領域多い、☆高支出領域
購買方針としては、現存サプライヤー温存しながら、サプライヤーリスクを回避しつつ、代替ルートを探索して、品質確保と効率化を図る


4)事業の影響度:大、サプライヤーの優位性:大:カスタムデバイス系ゾーン
【特徴】☆利益・オペレーションで戦略的、☆保証された調達先少ない、☆高支出領域、☆品質重視の設計、☆複雑な仕様
購買方針としては、取得プロセスを単純化し、サプライヤー数を削減することで、価値の最大化を図る


このような形で、分類し、それぞれのゾーンに属する購入品に対して、戦略的なアプローチを仕掛けてきます。

ここで、皆さんは、このカラクリを知ったわけですから、対応を考えれば良いわけです。これについては、また別途述べさせていただきます。ここで述べた調達マトリクスについては、皆さんが扱われている製品、部品についても重要な認識を与えてくれますので、是非覚えておいてください。