ブルー・オーシャン戦略

W・チャン・キムとレネ・モボルニュの共著である「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する」という本を紹介します。
この本、有名なんですよね。2年前ぐらいに購入して、ずーっと積読状態でした。今回東京プロコン塾の有志で、マーケティング関連の書籍を各自で読んで、レジュメを作成するという企画がありましたので、この機会に読ませていただきました。



ブルー・オーシャンとは何を表しているかは皆さんご存じのことと思います。ブルー・オーシャンとは、競争自体を、無意味なものにする未開拓の市場のことを言います。これは、今までのビジネス戦略を用いて戦う市場は、消耗戦を強いられ、血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場の「レッド・オーシャン」と対極に位置します。
この本では、この競争のないブルー・オーシャンを開拓するための戦略が綴られています。


ブルー・オーシャン戦略の中核にあるのは「バリュー・イノベーション(価値革新)」という考え方です。一般に、上澄み価格戦略で、「高機能の製品は原価が高い」傾向にあり、価値とコストは比例関係にありますが、付加価値を高めかつコストも抑えるという考え方です。


戦略策定のためのツールやフレームワークの説明も書かれているが、その中で「アクション・マトリクス」と「戦略キャンバス」が重要なツールとして考えられます。
【アクション・マトリクス】
「取り除く」、「増やす」、「減らす」、「付け加える」という四つのセグメントに、自身が身を置く業界や他社の取り組みを当てはめ、自社の事業を再整理するツール。現状の競争要因に対して、自身でどのように変化をもたらせば、ブルー・オーシャンを創造できるかを整理します。

【戦略キャンバス】
競争要因を横軸に、縦軸はそのレベルを表し、自社の取り組みと他社の取り組みを比較するツールです。各競争要因の点を結び合わせた線が、他社の線と異なる場合は、新たな市場を創造できる可能性が高いことが確認できます。


ブルー・オーシャン戦略をうまく策定・実行するための6原則についても紹介されています。それぞれの原則とどのようなリスクに対応しているかは、次のようになります。
【策定の原則→対応するリスク要因】
・市場の境界を引き直す→探索リスク
・細かい数字は忘れ、森を見る→プランニング・リスク
・新たな需要を掘り起こす→規模のリスク
・正しい順序で戦略を考える→ビジネスモデルにまつわるリスク
【実行の原則→対応するリスク範囲】
・組織面のハードルを乗り越える→組織面のリスク
・実行を見すえて戦略を立てる→マネジメント・リスク


この本は、一読をお薦めします。訳本とは思えないぐらい読みやすいです。新しい事業やこれから何かに取組みたいと考えられている方、もちろん経営コンサルタントの方もまだ読まれていないのなら、本屋さんへ直行しましょう。