「坂の上の雲」に学ぶ中小企業経営力

読書本の紹介です。臼杵昌美さん著の「『坂の上の雲』に学ぶ中小企業経営力」です。


最近のビジネス書の傾向としては、映画やテレビで取り上げられた歴史ものを題材に、その中の人の動きや戦い方を取り上げ、ビジネスの題材として解説を加えていくものが増えてるような気がします。

坂の上の雲」も司馬遼太郎の代表的な長編歴史小説で、NHKが今年から3年間に渡って、スペシャルドラマとして放送を予定しています。また、本屋でもやたら関連本が出ています。


この本もそんな商魂逞しい中で出てきた1冊かもしれません。私も、その誘いにまんまと乗って購入した一人です。


『坂の上の雲』に学ぶ中小企業経営力

『坂の上の雲』に学ぶ中小企業経営力


坂の上の雲」では、日清戦争日露戦争を題材に小説が展開されます。この本では、明治維新後、まだ近代化を進めたばかりの日本を中小企業と捉え、清国、ロシアの大国(大企業)といかに伍して戦ってきたかを題材に、それをビジネスシーンに置き換え、経営についての解説を加えています。


著者曰く、本書を書くにあたって、原作に経営に参考になりそうなところを付箋を貼っていくと241カ所もの付箋が貼られたそうです。


大きくは、Ⅰ作戦、Ⅱ運営、Ⅲ人材の3部に構成されています。


著者は、経営コンサルタントと自らも中小企業を経営も手がけられているので、中小企業の内情も良くご存じの方です。


そんな中で、私が妙に納得したのが、マーケティング戦略で述べられている以下の内容です。


話としては、中小企業では、商品の特徴として「強いところもあれば、弱いところもある」というとことが認識できないことが多い。
その理由を述べているのであるが、その理由の一つとして、中小技術者に頻繁にある「他社商品との比較をしない」という理由によるもである、という件である。



これは、確かにそう思う。私も大企業から、中小企業に転じたことがあるが、その中でビックリしたのは、他社との比較をしないことである。だから自分たちが劣っているところには目を向けない傾向が強いことには驚いた。
戦略的な製品開発がされていないのだ。だから、技術的に優れていても特許が切れる頃にはキャッチアップされていたり、生産面で劣勢に立ったりすることもある。



中小企業の経営力を述べているという点で、非常に面白い本だと思うし、出てくる事例も多くの中小企業の実情を表している。
中小企業に向けてアドバイス・支援を行うような中小企業診断士コンサルティング会社に勤められている方は、目を通されていた方が良い本だと感じました。