トヨタ現場の「オヤジ」たち

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、野地秩嘉著、『トヨタ現場の「オヤジ」たち』です。


日本のものづくりの根底にある精神的基盤を改めて理解できる本ではないかと思います。


トヨタ 現場の「オヤジ」たち (新潮新書)

トヨタ 現場の「オヤジ」たち (新潮新書)


中学卒業後、15歳で入社し、現場一筋の河合満副社長を中心に、トヨタを支えた技能職の人たちが語る、トヨタ生産方式と人の育て方について書かれた本です。


本書を読んで思い返したのが、私が新入社員だった当時は、中卒でたたき上げの人たちが多くいて、その人たちに、かなり叱られて仕事のやり方を覚えていったなということでした。


人を育てるために叱る、それも叱るだけじゃなく、きちんと教える、面倒を見る。


今は、そんな風潮が廃れてきているんだなあ・・としみじみと思ってしまいました。


本書の中に出てくる「部下が理解していないのは、部下が悪いんじゃない。教え方が悪いんだ」という言葉、胸に滲みました。


日本のものづくりが危ういんじゃないかなどと言われていますが、そんなことはありません。


表面的なことではなく、本質的な部分や気持ちの部分も含め、きちんと伝承していくことが大事だなと感じた本です。


そういうことは、AIではできません。


人間だからこそ、できるのです。