データの見えざる手

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、矢野和男著、「データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則」です。


この本、面白いです。


これからの社会に対するいろいろなことが示唆されており、冒頭から一読をお勧めしちゃいます。



内容としては、日立製作所中央研究所で2006年に開発されたウエアラブルセンサ「ビジネス顕微鏡」による人間行動の研究結果より、わかってきたことを解説し、そこから、これからビックデータや人工知能の使い方、そのような中での人間の働き方にまで言及しています。


このウェアラブルセンサーをつけて、見えてきたことの一つに、我々自身は自由に意思を持って行動しているようにみえても、そこにはある規則性があるということ。


行動特性から、幸せについても測定が可能だということ。


また、それは職場における活性化にも活用できるということ。


その時に重要なのは、いかに有効に他の人から情報を得られるようにするかで、「リーダーの指導力」と「現場の自律」は決して矛盾しない。


チクセントミハイのフローの状態もどういうtきなのか、ウェアラブルセンサーで測定することができるなど、もう興味津々の内容てんこ盛りの本です。


人工知能の出現により、人間がやるべき仕事がなくなってくるなどの話も出ていますが、本書ではそういう中で人間にしかできないことを三つ挙げています。


1.問題を設定すること(学習するマシンは問題を設定できない)

2.少ないデータの中で状況を判断し、前へ進むこと
 (学習するマシンは目的が定量可能で大量データにしか適用できない)

3.結果に責任を取ること


そして、最後にこのようにセンシング技術や人工知能、ビックデータの出現は、幅広い分野における可能性が出てくるわけで、その大量データの活用について「サービスと科学の融合」ということで、どんな社会を目指したらよいかについても、有識者で議論した内容とそれに基づく「直島宣言」が掲載されています。