サムスンに学ぶな!

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、伊敷豊著、「サムスンに学ぶな! ―日本の家電メーカーは、なぜ、凋落したのか?―」です。


題名は過激ですが、日本の家電メーカーの凋落は、その経営体質が変わったことにあることを、見事に論破している本です。


サムスンに学ぶな! ―日本の家電メーカーは、なぜ、凋落したのか?―

サムスンに学ぶな! ―日本の家電メーカーは、なぜ、凋落したのか?―


サムスンは、その対比象徴として出てきますが、巷でよく言われているように技術をキャッチアップされて抜かれたわけではなく、まだまだ日本のものづくりは世界の中でトップレベルにあり、サムスンに技術力で抜かれたわけではないと論じています。


日本の勢いが止まったのは、経営手法をグローバル・スタンダード方式に切り替え、日本式経営手法を捨て去ったからだということです。


そして、未だグローバル・スタンダード式から抜け切れないソニーは混迷が続き、経営陣が変わり、旧来の取引先との関係強化を図るパナソニックは復活の兆しが見えているのだと本質の部分を言及しています。


私の読後感は、かなり本質的な部分をきちんと踏み込んで論破している本であると感じました。


韓国で働いたことのある人ならば、向こうの人の気質や仕事に対する姿勢などから、日本との格差がまだまだあると感じていると思います。


そして、売上額や営業利益額などの表面の数字だけを見て、その比較だけでサムスンと日本の家電メーカーとの差を論じていた本が、いかに薄い中身のものかを知ることが出来るビジネス書だと思います。