日本型モノづくりの敗北

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、湯之上隆著、「日本型モノづくりの敗北 零戦半導体・テレビ 」です。


著者は、半導体産業に従事し、そして退職をされ、現在は半導体産業と電機産業のコンサルタントおよびジャーナリストの方です。


本書は、日本の半導体産業の栄枯盛衰を中心に、なぜ日本型のものづくり、製造業が衰退してきたのかを論じています。



感じたことは、日本人って大局的にものを見て動くことが苦手で、大局的にはどうでもいいようなところに突っ込みすぎて、その間に追い抜かれてしまうのだなあということです。


それから、コンソーシアムの話が出てきますが、異なる企業で育ってきた人たちを一同にしてまとめることの難しさです。


でも、こんなことはそれぞれの企業文化があるのだから、わかりそうなものなのに、そういう所に気がつかないお役所日の丸は何だろうととも感じました。


半導体産業、テレビなどを題材に論じているのですが、著者自身もその産業に従事し、内情を熟知しているだけに、分析や推定などは、かなり説得力があるものとなっています。


最後に、日本の技術の強みの分析とこれから進むべき方向についてもかなりわかりやすく提示されています。


この本は、製造業に携わる人には是非とも読んでもらいたいと思いました。


示唆に富んでいるし、これから日本のものづくりをどうしたら良いかを考えるのにいろいろなヒントが散りばめられています。