中小企業診断士第2次試験に向けて(2)

2.2次試験の試験概要・出題

昨日は、「2次試験では、診断・助言ができる能力が求められている」ということを述べました。


それでは、その能力を試験の中で、どのようにして求めているのでしょうか。


中小企業診断士第2次試験案内を見ると、「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について、短答式または論文式による筆記及び口述の方法により行います。」と書いてあります。


つまり、筆記試験においては、事例問題を「読む」ことにより、該当企業の問題や課題を理解し、「書く」ことで、その企業を診断・助言できる能力を確かめ、口述試験においては、面接官の質問を「聴く」ことで、問われている内容を理解し、「話す」ことで、助言の能力を確認しているのです。


この試験の方法は、よく考えるとコンサルタントとして必要な能力である「読む」、「書く」、「聴く」、「話す」をきちんと確認するようになっているなと思います。それでは、この試験の中での「読む」、「書く」、「聴く」、「話す」能力について、それぞれ考えてみましょう。

1)「読む」:書いてあることを理解している能力。具体的には、事例文に書いてある内容及び設問で問われている内容を理解していること。

2)「書く」:設問で問われている内容を理解している前提において、書き記した文章が、読み手にとってわかりやすい表現になっていること。

3)「聴く」:面接者が質問している内容を理解できていること。

4)「話す」:質問された内容に対して、相手にわかりやすい言葉で応えること。


これらの能力を確認するために筆記試験、口述試験が実施されているのだと、私は考えています。(この考えは、受験前に思いついたものですが、今も変わりありません)


それでは、中小企業診断士第2次試験の出題はどのようなものでしょうか。これも中小企業診断士第2次試験案内を見ると、次のように書かれています。


筆記試験は、「経営革新・改善」、「新規事業開発(既存事業の再生を含む)」などの中から、次のように出題します。

・「組織(人事を含む) を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」

・「マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」

・「生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」

・「財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」


「『経営革新・改善』、『新規事業開発(既存事業の再生を含む)』などの中から、」は、事例の中に出てくる企業の経営課題が示さされていると理解できます。次の事例内容の4つですが、これは企業の中の各機能を取上げることで、1次試験を合格して有している知識の主にどの分野の応用能力を確認しようとしているかを示していると考えれば良いでしょう。


上記の各事例に対して、中小企業診断士第1次試験の対応科目は以下のように考えられます。

・「組織(人事を含む) を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」:企業経営理論(経営戦略論、組織論)

・「マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」:企業経営理論(経営戦略論、マーケティング論)、運営管理(店舗販売管理)

・「生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」:企業経営理論(経営戦略論)、運営管理(生産管理)

・「財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」:企業経営理論(経営戦略論)、財務・会計


経済学・経済政策、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策は、上記の4事例の中のどこにでも出てくる可能性がある横断的な知識として捉えておくと良いのではないでしょうか。


次に口述試験ですが、中小企業診断士第2次試験案内では、「中小企業の診断及び助言に関する能力について、筆記試験の事例などをもとに、個人ごとに面接の方法により行います。」と書かれています。ここから口述試験の目的を推測すると、筆記試験で出題された事例企業の状況を踏まえた上で臨機応変に対応する、ことと思われます。


ポイント2:「筆記試験においては『読む』、『書く』、口述試験では、『聴く』、『話す』能力が試されている」


ポイント3:「事例に示される経営課題は、主に『経営革新・改善』、『新規事業開発(既存事業の再生を含む)』など」


こうやって、理解をしておくと2次試験の事例問題に向かっても、少なくとも解答の姿勢に対しては、相手が求めていることに対してずれることが少なくなると思います。