経営者の大罪

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、和田秀樹著、「経営者の大罪−なぜ日本経済が活性化しないのか」です。


この本は、面白かったです。


日本の経済が復活しないのは、中流層が多かったこの国を格差社会にして、中流層を減らしてしまったからだという論調です。


そして、なぜ中流層が減ってきたのかを考察しています。



これは、日本の経営層が従来からの日本式経営から米国式の経営に舵を切り替えたことが要因だと言及しています。


株主に配慮し、短期的に利益を追い求める傾向が強くなったことにより、リストラが進む、また成果主義の導入などにより、中長期を見据えた経営が出来なくなってきています。


そのような会社の経営の方向を舵取りした経営者の罪は大きいというのが著者の論調です。


日本もブランドを強くしていかないと、さらに没落の一途を辿る可能性のあることも示唆しています。


日本の経営者は、ブランドを作るということはそういうことかを良く考えるべきなのでしょう。


また、工場を海外に移転し生産を行うことに対しては、そういう賃金の安いところでも作れるものということで、ブランドの強化には繋がらない可能性も示唆しています。


著者は精神科医なのですが、ここで述べていることは確かに一理あると考えさせられることが多かったです。


内需拡大を怠っているという指摘は、経営者にとっては耳が痛いのではないかと思いました。


経営者を支援する立場の中小企業診断士の方々は、この本を読まれた方が良いと思います。


大企業の目が海外に行ってしまっているので、中小企業が内需の掘り起こしができるチャンスがあるかもしれません。