〈不安な時代〉の精神病理

読書本の紹介です。


今回読み終わった本は、香山リカ著、「〈不安な時代〉の精神病理」です。


書店で、あっ、香山リカさんの新作だと思い、手に取りページを捲ると、まえがきにあの3月11日のことから話しが始まります。


もう、これは買いだとすぐさまレジに行ってしまいました。


〈不安な時代〉の精神病理 (講談社現代新書)

〈不安な時代〉の精神病理 (講談社現代新書)


読んでみると、まえがきとあとがきが東北関東大震災が起きたあとに書かれたもので、中身はほぼその前に書かれていたものに、一部震災後に加筆されたのではないかと思います。


うつ病新薬がうつ病患者を増加させている話も興味をもって読ませて頂きましたが、やはりこの震災と絡めると、日本という国自体が「国家的うつ」にかかっているという論点でしょう。


しかし、著者はこの震災が、そこから立ち直るきっかけになるであろう、だからこそ、この国をあきらめない、希望を失わずに生きるようにとの思いを強く感じることができました。


長いデフレがもたらす大きな不安というと、経済活動そのものが、人の精神に影響を及ぼしているということです。


経済活動を経営面からだけでなく、心理、精神面から掘り下げている部分は、なるほどなと思ったと同時に、経済活動とは、一体なんなんだろうなと考えさせられました。


この本を読むと、大きな災害が起こり、不安な気持ちになってしまいますが、そんな自分や私たちを一歩引いて見ることが出来るかもしれません。


ご一読をお奨めします。