親子という病

読書本の紹介です。香山リカさん著、「親子という病」です。


「産んでくれてありがとう」と親への愛や感謝の思いを絶叫する息子や娘。「死んでしまえ」と刃物や鈍器を親に振り下ろす息子や娘。いったいどちらが、現代の子供たちの本当の姿なのだろう。


親も同様で、「家族は、恋人。」と家族への過剰なまでの愛を隠すことなく表現する親たちと、わが子を命を落とすまで虐待したり、積極的に殺害してしまったりする親たち。どちらを、現代の親の姿だと考えれば良いのか。


親子という病 (講談社現代新書)

親子という病 (講談社現代新書)


この本は、親子関係を著者の専門分野の精神医学の臨床の現場で見られる実例や実際に発生した事件の当事者たちの状況などを例に挙げ、現代の親子関係の姿を描いています。


昨日、NHKのクローズアップ現代で取り上げられていたのは、上海に住む人たちの親子関係が崩れてきたことだ。儒教の教えが強い中国では子が親の面倒を見る、親孝行をするというのは当たり前のことだったが、近代化が進んだ上海ではその関係が崩れているということを放送していました。


親子の絆もあれば束縛もあり、血が繋がっている深い関係だけに、そのあり方は確かに難しい。


香山リカさんの結論は、「親子という病」なんだということだ。だから、完全な親子関係などあり得ないと言っています。


この辺は、誰しも胸に手を当ててみると感ずることがあることでないだでしょうか。


それを踏まえた上で、その病をひどくしないための処方箋やまだやれることとしてはどのようなことがあるかまで言及しています。


題材が題材だけに捉え方も難しいと思いますが、親子のあり方、自分の親または子どもととの向きあい方を再考する上では参考になる本ではないだろうか。