読書本の紹介です。稲盛和夫さん著、「アメーバ―経営」です。
アメーバ―経営とは、京セラの創設者である稲盛和夫氏が作り上げた、確固たる経営哲学と精緻な部門別採算管理をベースとした経営手法である。
部門別採算管理をすることで、部門(工程)毎の独立採算を行い、アメーバ―リーダーと呼ばれる各リーダーにそれぞれ経営マインドを持ってマネジメントを行わせる。
自部門の最適化を図るのではなく、会社全体の最適化を図るためには、アメーバ―リーダーが確固たる経営哲学を持たなくてはならない。
日本のように、経営者になる年齢が欧米より高い社会においては、若くして経営マインドを持って、仕事を行うことができるシステムではないだろうか。
- 作者: 稲盛和夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
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私が感心したのは、リーダーが持つべき経営哲学の部分である。私が気に入ったのは次の2つ。
・リーダーは公平な審判となるべきである。
個の利益と全体の利益のあいだで対立が起こると、葛藤が絶えない。その葛藤を克服するには、個としての自部門を守ると同時に、立場の違いを超えて、より高い次元で物事を考え、判断することができる経営哲学、フィロソフィを備える必要がある。
・嘘を言うな、人を騙すな、正直であれ
リーダーである経営幹部が自己中心的な行動をとらないように自らを戒める倫理観を持つ。それは高度な哲学でなく、小学校の子どもが教わるようなプリミティブな倫理観である。
また、組織をアメーバ―のように細分化するための条件としては、次の三つを挙げている。
【条件1】アメーバ―が独立採算組織として成り立つ単位であること。つまり、アメーバ―の収支が明確に把握できること。
【条件2】ビジネスとして完結できる単位であること。つまり、リーダーがアメーバ―を経営するのに、創意工夫をする余地があり、やりがいを持って事業ができること。
【条件3】会社の目的、方針を遂行できるように組織を分割すること。つまり、組織を細分化することで、会社の目的や方針の遂行が阻害されないこと。
他にもアメーバ―経営を支える経営哲学など、アメーバ―経営の仕組みをなす考え方が述べられています。
私は、長い間メーカーで技術者をやってきて、まだまだ技術屋の心が抜け切れていないので、外注に依存するのではなく、メーカーならば、事業に永続性を持たせ、従業員の雇用を長く安定したものにするのに、やはり付加価値を生み出す製造現場を社内につくりあげ、額に汗して、ものづくりに励むべきだという、稲盛氏の考え方には、共鳴しました。
ザ・ゴールに出てくるスルー・プット的な考え方もあり、精神論もあり、これからの日本企業、特に製造業の経営の在り方を考えていくには、参考になる本ではないだろうかと思いました。