アホの壁

読書本の紹介です。筒井康隆さんの「アホの壁」です。


何年ぶり、いや、何十年ぶりに筒井康隆さんの本を読んだでしょうか。中学生の頃、漁るようにこの人の本を読みました。とにかく面白かったです。


今は、もう大御所ですよね。


この本のタイトル、養老孟司さんのベストセラー「バカの壁」より思いついたというところが、まず筒井さんらしい。

当初、「人間の器量」というタイトルで書かないかと依頼を受けたそうだが、筒井康隆の「人間の器量」などどいう本が売れるわけはないが、筒井康隆の「アホの壁」は売れるのである。と言いきっているところも筒井さんらしい。


アホの壁 (新潮新書)

アホの壁 (新潮新書)


この本、そのタイトル通り、人間って何でアホなことをするのだろうか、ということを喧嘩、計画の立て方、戦争などの例を通じて、筒井的人間論を展開しています。


私が昔読んでいた時代の作品と比較すると、ギャグ的な部分は抑えていますが、筒井さん特有のアイロニーは健在、随所に散りばめられています。


散々、いろいろなアホの行動に対し、遺憾ともしがたい憤慨を綴っていながら、アホが愛おしいと、その存在意義も主張しているところは、流石です。


なんだかんだ言っても、言いたかったことは終章なのかな。


案に最終戦争で人類の滅亡まで言っているところはSF作家ですよね。


私にとっては、人間、年を重ね、年輪が増えていくと次第に重みが感じられるようになるかなあ、と感慨を受けました。


何も考えずに読んでも面白い本だと思います。ご一読してみてはいかがでしょうか?


きちんと購入してくださいね。だって、筒井康隆の「アホの壁」は売れるのですから!!