コストダウンの進め−その10−

本連載は、中小製造業の生産・調達等の業務をいかに効率化して、利益を確保していったらよいかの観点で書いています。
中小企業の中でも、製造業は一昨年のリーマン・ショック以来、大きな打撃を受けています。これは、大手の製造業も痛手を受け、生産調整等を実施している余波をもろに被っているためでもあります。


とはいっても、ここで中小製造業に踏ん張ってもらわねば、日本の製造業は尻すぼみになる可能性だってあります。苦しいかもしれませんが、何とか知恵を絞り、コストを下げ、やがて来るであろう景気に備えて踏ん張っていきましょう。


前回からは、時間が経ってしましましたが、今回は「ではどうやってコストダウンを進めていけば良いの?」という疑問にお答えするため、コストダウンの着眼点について述べたいと思います。


【コストダウンの着眼点(1)】
これは、基本中の基本。ご存知の方は多いと思います。売上高、利益、費用とその中身(固定費、変動費)の関係をよく理解しておくこと。

つまり、式で表すと

売上=利益+費用
費用=固定費+変動費

だから、当たり前のことですが、利益を増やすためには、費用(固定費、変動費)を減らすことです。では、どうやって減らしていけば良いのでしょうか。


【コストダウンの着眼点(2)】
原価企画の三原則というのがあるのをご存知ですか?これは、次に示すようなものです。

原則その1:原単位を小さくする;(例)材料の使用量の削減、作業時間の短縮など
原則その2:各種レートを下げる;(例)マン・マシンレート(作業効率・操業率向上)など
原則その3:材料単価を切下げる;(例)外注先との交渉、仕入先変更(転注)など

原則1及び原則2は、御社の現場にて実行・実現できることです。

御社の生産現場をよく見て下さい。改善の原石がいっぱい転がっていると思います。効果ある原石を見つけ現場の改善に努めて下さい。


【設計〜生産に至るまでのコストダウン手段】
設計、調達、生産の3段階に分けた時に、各段階でどのようなコストダウン手段があるのかをここに挙げておきます。

≪設計段階≫
●ベンチマーキング:競合他社の開発戦略・調達戦略・生産戦略を調査し、「自社にとって役に立つ戦略」を学び自社の戦略を立てる
●原価企画:企画段階で、「モジュールごとの目標原価」を設定し、全関連部門の知恵を企画段階から盛り込む方法
●設計・VE:型変更などを伴う設計変更は、投資対効果を見極めてから行っていく
●ティアダウン:競合製品を分解し、その中から「自社の設計に役立つものを探し、自社設計に盛り込む


≪調達段階≫
●開発購買:設計と購買メンバーで部品メーカーを訪問し、設計変更も含んだコストダウンの提案
●海外調達:中国等低賃金の海外部品メーカーを訪問し、工場調査とサンプル評価により、採用を決定する


≪生産段階≫
●原価管理・利益管理:製品ごとの実際原価を集計、目標未達製品に対する、集中的なコストダウン
●海外生産:「安い部品と、安い人件費」を使える地域に生産拠点を移動する


次回は、現場で採用されているコストダウンの手法を比較して、その中の一つであるVEについて説明したいと考えています。