オバマ大統領の演説に秘めたテクニック

夕方になると涼しい風が吹いてきて、風を受けながら歩いていると、とても持ち良いですね。
午後から図書館に行き、レジュメ資料も完成しました。図書館は、私にとっては第二の書斎です。自分の書斎は小ぢんまりしていて、落ち着きますが、作業するにはちと狭いです。
図書館は机のスペースも十分あり、資料作成等の作業するには持って来いの場所です。JAZZアルバムも借りられるしね。


今回紹介する本は、「聞き手を熱狂させる!戦略的話術-オバマに学ぶNLPプレゼンテーション-」です。著者は、二階堂忠春さんと田中千尋さんです。


聞き手を熱狂させる!戦略的話術~オバマに学ぶNLPプレゼンテーション~

聞き手を熱狂させる!戦略的話術~オバマに学ぶNLPプレゼンテーション~


この本は、オバマ大統領の演説での話術をNLP神経言語プログラミング)というコミュニケーション心理学の考え方を通じて分析、説明しています。
NLPは、コミュニケーションの達人のふるまい、考え方、話し方などを徹底的に分析し、広く一般の人たちが応用できるように体系化させた実践心理学であり、ビジネス、スポーツ、医療、カウンセリングなどの分野でも応用されています。

本書は、全7章からなり、各章が1)オバマ氏のスピーチ解説、2)NLPコラム、3)ワークシートの3部構成となっている。オバマ氏のスピーチは、和訳のみならず原文も併記されています。

この本を読み進めると、確かにオバマ氏のスピーチは計算されつくされているし、それが聴衆を惹きつけるのも頷ける。今までの米国の大統領選の後に、あれだけ演説のDVD、テープ、本などが出されたことがなかったことをみても、その卓越したスピーチ力を窺うことができるだろう。


どの章とも面白く、有用で興味あるこが説明されているが、その中でも強く印象に残ったのは、「アンカリング」と「リフレーミング」です。

「アンカリング」とは、私たちが何かを見たり、聞いたりという五感の刺激を受けると、何らかの反応が起こることをいうそうです。また、五感を利用した感覚的な刺激を条件づけし、その体験を定着させて簡単に引き出せるようにすることもできます。
「アンカリング」が成立する条件とは、「強い感情を伴う」ことと「繰り返される」ことです。
このようなメカニズムを活用して、モチベーションを上げたり、気分を良くさせたりの反応を引出すことを優れたコーチやリーダーは無意識に行っているようです。


「リフレーミング」とは、物事の見方や考え方の枠組みを変えることで、出来事の意味づけを捉え直すことだそうです。
意味づけが変われば、それに対する反応や行動も変化します。「リフレーミング」を行うことで、出来事をいろいろな枠組みから捉える柔軟性が高まり、人生の出来事に対する見方の選択肢を増やすことができます。
表現の仕方でも、直接否定的な言葉で発言するのではなく、肯定的な表現にするとどうなるかといった枠組みの置き換えが考えられます。


この本は、身近に置いておくスピーチのテキストと言っても良いと思います。
オバマ大統領の戦略的なスピーチとNLPに基づく、話術の理論について、みなさんも触れてみてはいかがでしょうか。