「俺は聞いてない!」と怒りだす人たち

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、榎本博明著、『「俺は聞いてない!」と怒りだす人たち』です。


「俺は聞いていない」と突然言われて、えっ今さらそれはないだろうと思った経験がある方は、この本を読まれると良いのではないでしょうか。


本書では、この言葉を発する側の心理的状況の分析から始まり、日本的組織特有の責任の所在を明らかにせず、悪者は作らないという心理メカニズムへの分析と論点が発展していきます。


「俺は聞いてない!」と怒りだす人たち (朝日新書)

「俺は聞いてない!」と怒りだす人たち (朝日新書)


そして面白かったのは、そういう体質は世代を超えても共有されていることが述べられていることです。


むしろ、今の若い人たちの方が目上の人たちに対しても上から目線で話をしているように感じられているという指摘も面白かったです。


この言葉、昨年の東日本大震災福島原発の有事でも、当時の首相・管直人氏が発して、東京電力の現場を混乱させたという話がまことしやかに伝えられているのは聞いたことがある人も多いと思います。


自分は、このような言葉を発してしまうのか、そんなことも考えてしまうような本です。