理系の企画力!

これから、本を山積みにしようとしている書斎の中の広い机を前にして、椅子にもたれながら綴る読書本の紹介です。


今回紹介する本は、宮永博史著、『理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から』です。


現在、日本の製造業は韓国、台湾、中国などのアジア企業の躍進などにより下降を辿っているように言われています。


アップルなどは新しい技術を創りあげるのではなく、技術は既存のものを使い、お客様が使いやすいようなインターフェースなどが受け入れられて、売り上げが伸びています。


理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から (祥伝社新書167)

理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から (祥伝社新書167)


この本は、そんなことは日本にだってできる、実際、こういう企業があるんだですよということを示してくれています。


技術者といえども、技術オリエンテッドではなく、使う人の立場を考えてユーザーオリエンテッドにならなくてはいけないことを伝えてくれています。


9つの章立てになっており、各章には次のようなタイトルが付いています。


第1則 現場は観察するだけでなく、実際に体験する
 お客様の声をそのまま安易に受けいれていませんか?

第2則 一面からのモノの見方にこだわらない
 コップ半分の水を見て、二通りの考え方ができますか?

第3則 使う人が求める究極の我儘こそ、発想基準
 技術者の常識を捨てていますか?

第4則 はじめにコンセプトありき
 技術主体の目標設定をしていませんか?

第5則 すぐれた技術は感動を生み出す
 使って驚く人の顔が浮かんでいますか?

第6則 最初から二兎を追う
 「安かろう、悪かろう」と決めつけていませんか?

第7則 異なる分野の技術を結集する
 守備範囲を広げる努力ができていますか?

第8則 技術はわかりやすく翻訳する
 その技術の優位性が使う人に伝わっていますか?

第9則 商品はロングセラーを前提に考える
 本質的に良いものを想定できていますか?


第9則では、大塚製薬のことが取り上げられていますが、ここの生産技術は、徹底的に自分たちの技術や工夫を取り入れ、設備に手を加えているそうです。


そのまま装置・設備を購入すれば生産技術はいらないという傾向が強くなっている中、こういう素晴らしい取り組みをしているところもあるのだなと感じました。


また、生産技術者の人たちも、自分たちの取り組みも独自のものを盛り込み効率を上げていく、そういう意識を持って取り組んでいく必要があると思いました。