設計力・製図力の低下

製造業系の中小企業を訪れて経営者の方とお話をすると、最近の大手メーカーの設計力の低下を嘆いておられる方に遭遇することが多い。


これは、自分もメーカーに勤務していたときに、かなり感じていた。


多分、どこの大手メーカーも同じような状況じゃないかと思うのだが、図面を書いている人間は、派遣さんが多いのではないだろうか。


この手の派遣さんで経験があるような人は少ないので、大抵は若い人たちだ。


学校でも3次元CADを使って授業しているようなところが多くなってきているから、もちろん彼らは3次元CADの操作なんて、チョチョイって感じでこなしてしまう。


でも、できあがった図面って、エッ!これ、どうやって加工するの?なんてものを平気で書いちゃう。


なぜ、こんなことになっているかというと、加工とか生産とか、自分で書いた図面がどのように具現化されるかまでを知らないからだ。


さらにじゃあ、なぜ?って考えてみると、今、試作の現場を社内に抱えている会社ってどのくらいあるのだろうか。相当少ないと思う。


これは、効率化や人員削減、コストダウンなどの名目でそういう部署をなくしちゃったから。


昔は、こういうところへ図面持って行くと、口の悪いオヤジがいて、「こんなモノできるか!バカヤロー」などどまず怒鳴られたものだ。


そんな怒鳴られ怒鳴られしたが、口は悪いが要所は教えてくれたりして、そういう中で設計者は鍛えられた。


今の設計力や図面力の低下をみると、あと何年か経つと、日本の技術力がガタッと落ち込んでしまうのではないかと心配になる。


効率ばかりを追うのではなく、もう少し長期的な視点に立って、技術力の維持・拡大を図る必要があるだろう。


こうやって考えると、やっぱり教育って大事なんですね。


もう少し工学教育の設計や生産技術に力を入れてもいいんじゃないかなあと思う、今日この頃です。