生産系コンサルタントの道 Wライセンス取得の奨め(22)

今回からは、平成22年度の総合技術監理部門の問題Ⅱ−2(記述式試験)について概観してみたい。


下に掲載するのは、問題文です。ここで黄色の太字にしているところが、この問題で要求している部分やその時の制約になるものです。



 技術が高度化・複雑化し,グローバルな関係が益々強まる現代社会では,多様な価値観や世界的な課題の中で物事を捉えていくことが改めて求められている。特に,過去の時点や現時点では最善と思われていた事も,時代と共にその評価は変化し,社会的に大きな負の遺産に変化するような場合もある。
 従って,各種のプロジェクトや業務を遂行するに当たっては,近視眼的にプロジェクトや業務内の適切管理を追及するだけでなく,将来の社会変化や技術進歩なども意識しながら物事に相対することが今後さらに望まれてくるであろう。これは,その時点で全てを予見し,解決することが出来なくても求められると考える。
 以上の状況を踏まえて,以下のプロジェクトのケース(実在しないものも含む。)の1つを選び,当該プロジェクトを推進する立場で,総合技術監理の視点から(1)〜(3)の問いに答えよ。ここでいう総合技術監理を構成する管理分野とは,「経済性管理」,「安全管理」,「人的資源管理」,「情報管理」,「社会諌境管理」の5つをいう。また,解答に当たっては,具体的な設定を自分で行い,その設定事項も記載せよ。(問いごとに答案用紙を替えて,それぞれ指定された枚数以内にまとめること。

ケース1:低環境負荷自動車(エコカー※)の開発と普及促進
ケース2:国内における高さ500m程度の複合用途の超高層ビルの建設と維持
ケース3:情報通信分野を含む現在の最新科学技術を適用した,大規模博物館の建設と維持
エコカーとは,電気自動車,プラグインハイブリッド車,又は燃料電池自動車のいずれかを指すものとし,解答に当たっては上記の中から車の種類を選択して解答すること。


(1)本論文において,あなたが採り上げるケースを明記し,それらの開発・建設プロジェクト及びプロジェクトの成果物である製品や施設(以下総称して「本事業等」という。)の概要(目的,成果物の機能や普及の姿など)を想定して明示し,本事業等が社会に与えると考えられる直接的・間接的な効用(社会的便益)と併せて答案用紙1枚にまとめよ。


(2)(1)であなたが採り上げたケースについて,事業等の前提となる主要な条件(社会的環境,社会・市場のニーズや規模,本事業等や関連技術の競合状況等)について生じる可能性のある重要な変化を具体的に記述し,「その変化により顕在化する可能性のある社会的なデメリット(本事業等がもたらす悪影響や,期待していた社会的便益の喪失)について論理的に考察せよ。また,解答に当たっては,上記デメリットが顕在化し得ると想定する時期又は条件についても明記せよ。以上の前提条件の変化,社会的デメリットとその発現時期又は条件を答案用紙2枚にまとめよ。


(3)(1)及び(2)を踏まえ,本事業等が長期にわたって社会的に受容されることを目的として,想定したデメリットの発現を防止,又は発現したとしてもその影響を最小限に抑えたり,あるいはデメリットを上回るように社会的便益を維持・増大したりするための具体的な方策について,総合技術監理の5つの分野のうち,3つ以上について言及しつつ答案用紙2枚に記述せよ。また,必要に応じて分野間の相互関係にも留意して解答することが望ましい。なお,求められる対応の時期としては計画時点に戻っても構わないものとする。



いかがですか?


問題文をザッと読んでみると、掴みどころがないようにも思えますが、まずは設問の要求していることには解答するという姿勢で、何が求められているのかをきっちりと把握することが大切です。


これは、中小企業診断士第2次試験にも通ずるところで、制約を踏まえて、設問の要求に応えることだと思います。


書けたのに、何故落ちたのだろう思う人は、今一度、自分が書いた内容が設問の要求通りか、制約をきちんと踏まえていたかを思いだしてみてください。多分、外していることと思います。



では、次回はこの問題に対して、いかに取り組んだか、自分の受験体験談として書くこととします。