生産系コンサルタントの道 Wライセンス取得の奨め(14)

では、前回の続きで、平成22年度の中小企業診断士第2次試験の事例Ⅲの第2問 (設問2)からの解法です。


第2問 (設問2)
この計画の実施によりC社の生産現場に混乱が予想される。予想される混乱の内容を(a)欄に60字以内に、またその対策を(b)欄に100字以内で、それぞれ述べよ。


さあ、これに関連した与件文は、次のものがあります。

12■1次部品メーカー2社(X社およびY社)から受注、生産、納品している

18■Y社で組み立てをしていた電子部品の生産工程を見直し、Y社に代わってC社内で組立工程まで行えるようにするものである


今までの生産から、新たに組立工程が増えることでの混乱が予想されるのではないでしょうか。その負荷がX社向けの生産への影響等が出たりとか、そんな現場での混乱が想像出来ますね。


解決の糸口は何かとヒントになるような与件文を探してみると、次のものが使えそうです。

4■現社長が、プレス加工技能者の育成、プレス金型の内製化、設備の改良・改善によるコストダウンなど社内改革を実施

5■品質保証、環境管理の標準化を達成


これより、次のような解答が考えられます。


第2問 (設問2)解答例

(a)欄
Y社の組立工程を社内に取り込むことにより、X社との生産計画の調整やそれぞれの生産工程の負荷バランスの混乱が予想される。

(b)欄
生産現場の混乱の対策としては、1)Y社からの工程移管計画は社内改革であることの従業員の意識付けをモチベーション向上を図り、2)組立作業や品質保証の標準化を行い、X社向け部品との生産負荷バランスを図る。



第3問
Y社からの生産設備および工程の移管計画には、1.生産リードタイムの短縮、2.コストダウンの2つの目的がある。これらの目的を達成するためにY社と共有化すべき生産管理に関する情報は何か。目的1.、2.について具体的情報データ項目をそれぞれ20字以内であげよ。


生産リードタイムの短縮のため、コストダウンのためにどのような情報が必要なのかということである。

生産リードタイムでは、その車種がいつ、何台生産されるのかが早く判れば、そのための準備ができるので、リードタイムが短縮できる。また、コストダウンは、Y社で組立てていたものをC社が生産移管されるので、従来のY社の組立分のコストが判明すれば、部品加工、組立でのそれぞれのコストダウンの寄与が明確になるのではないだろうか。


これは、それらしい与件文がないので、生産管理に関する知識からC社の状況を踏まえ解答する問題のようである。


第3問 解答例

目的1:■完成車メーカーからの車種、生産台数、納期。
目的2:■Y社における移管工程の各工程の組立コスト。



第4問
X社からの要請による中国進出計画が進展している。この計画に関してC社の技術を生かした独自の経営の方向性と対応策について、中小企業診断士としてどのようなアドバイスをするか、140字以内で述べよ。


「独自の経営の方向性」と書いてありますから、これは強みと機会の組合せの領域になりますよね。さて、ではC社が中国へ進出すること自体が機会と捉えると、強みは何に当たるでしょうか。それに該当する与件文として、以下のようなものがありました。


25■そこで生産される部品にC社の加工品が使われ、加えて中国国内では得にくい金型技術が高く評価され、X社とともに中国進出しようとするものである

26■すでにC社も中国沿海地域に工場用地を確保し、X社の駆動制御系製品の組立工場に隣接して、C社が金属プレス加工工場と金型工場を建設し金属プレス部品をX社の組立工場に供給する計画である


この文章から、「中国国内では得にくい金型技術」ということから、これは中国においては最大の強みになりそうなことが推測されます。また、「C社が金属プレス加工工場と金型工場を建設」ということで、もう一つの得意分野の樹脂成形加工は未着手、しかしそれはX社の縛りを受けていないということも読み取れます。


以上のようなことを踏まえて、次のような解答例を作成してみました。


第4問 解答例

独自の経営の方向性は、中国国内では得にくいC社の金型技術を活かして、中国現地向けにプレスおよび樹脂加工金型の製作・販売事業を展開することである。対応策は、中国に建設した金型工場でX社向け以外に現地向けのプレス金型、樹脂加工金型の製作・販売および金型のメンテナンス事業を展開する。


以上、解法に基づいて、平成22年度の中小企業診断士第2次試験の事例Ⅲの問題を解いてみました。



次回からは、技術士第2次試験の取組みについて述べたいと考えています。