講演会に行ってきました

2月3日の夜に、東京工業大学社会人教育院主催の第1回講演会へ参加させていただき、講演を拝聴させていただきました。

「技術者が経営者になるための必要なスキルとは?〜経営のサイエンスとアート〜」の演題で、一橋大学大学院 国際戦略研究科 教授の菅野 寛先生を講師としてお迎えしていました。


非常に面白い講演でした。経営者に求められるスキルというものが、どういうものかということが理解出来ました。そして、今まで疑問として抱えていた、「世の中同じようなモノを扱っている企業がいくつもあるのに、どうして業績などに差が出てくるのか」ということに対しても、答えが得られたような気がします。それは、「経営者が違うからです」ということです。


経営者の能力=スキルも努力すれば、習得できるの考えより、何をスキルとして持つべきかをスキルセットという言葉で表現していました。


このスキルセットは、サイエンス系のスキルとアート系のスキルに大別できると言っています。

サイエンス系のスキルは、左脳的なスキルで、マネジメント知識やロジカルシンキングなどが相当し、これは形式知の性質を有し、仕組化が容易なため、教科書や講義・演習を通じ習得することができ、必ずしも経営者が全てをマスターしている必要はありません。


それに対して、アート系のスキルは、右脳的なスキルでリーダーシップなどが相当し、これは暗黙知の性質を有し、仕組化は容易ではないので習得が難しく、経営者にとっては必須のスキルということです。


サイエンス系のスキルは、学べば習得できるので、要は学んでしまえば差がつきません。一方、アート系のスキルは、学ぶことが難しいため、ここに経営者としてのスキルの優劣が出てくるようです。


優秀な経営者は、アート系(右脳系)スキルとして次の5つのスキルを有しているようです。

1. 強烈な意志:事業において何がなんでも結果をだす意志が求められ、そのためには利他的な高い志と責任感が要求される。
2. しつこさ:『アイデアのつくり方』でもひらめき以前に徹底した分析が必要だった。考え・行動し続ける地道なしつこさが経営には欠かせない。
3.インサイト:論理的思考は万能ではない。一歩引いて本質を理解し、組織が陥っている思考パターンを壊し、進化させる洞察力が求められる。
4. 勇気:意志決定にはトレードオフがあり、情報も十分でないことも多い。そんな状況でも何かを判断し、時に捨てる勇気が必要になる。
5. ソフトな統率力:結果を出すには組織を動かす必要がある。ネアカな人間力をベースに、夢を掲げ共有し続ける統率力を持っておく。


自分としては、聞いていて確かにそうだなと思える部分がかなりあったので、お話して頂いている内容が書かれている本、「経営者になる 経営者を育てる」を早速今日購入してしまいました。


たまに、会社帰りに、ちょとアカデミックな雰囲気に浸るのもいいものだと思いながら、帰宅の途についていました。