コストダウンの進め−その7−

前回から相当空いてしましました。申し訳ありません。


中小企業診断士として、中小企業を見る機会が多いのですが、企業現在、日本の製造業は窮地に追い込まれています。一つ目は大手メーカーでは、海外への安価な労働力を求めての生産シフトが進展していること、二つ目は、コストダウン要求にさらされていることです。


このシリーズは、そんな中で安価な労働力を求めてやコストダウン要求されても、耐えられるだけのコスト対応力もつけながら、付加価値を持つ中小製造業になるための一つのスタンスとして、コストダウンに取組むための考え方や対応方法などを知っていただこうという気持ちで書いています。


さて、前置きが長くなりましたが、大手メーカー等で取り組んでいるコストダウンの段階ってご存知ですか?


その実施対応期間より大きく4段階に分けることができると思います。


第1段階(1ヶ月以内):知恵を使って、現行製品のコストダウンを実施する【効果】○(わずか)
第2段階(6ヶ月以内):お金を使って、現行製品のコストダウンを実施する【効果】○○(まあまあ)
第3段階(1〜2年以内):新製品の原価企画【効果】◎○(いい線)
第4段階(2〜3年以内):新製品の中長期原価企画【効果】◎◎(大きい)


中小企業の製造業が大手メーカーのパートナーとして仕事を受けるためには、第2段階、第3段階に食い込むことが必要になります。この段階では、何らかの設計がなされますから、前回述べたように、皆さんが持たれている経験及び技術を活かして、入り込める余地があるわけです。


また、大手メーカー側の立場になって考えてみましょう。一般に設計開発の流れとしては、1)機能試作→2)設計試作→3)量産試作→4)量産の流れになります。
3)、4)の段階では、もう生産に移行しなければならないので、余程大きなミスでもない限り、根本的な設計まで舞い戻ることもありません。また、この段階では作り込むことに必死で現場はてんやわんやの状態だと思います。


したがって、入り込む余地があるのは1)、2)の段階です。
できれば、設計・開発部署のメンバーの方々との繋がりを持ちことをお奨めします。また、生産技術関連の部署も重要です。この部署が力を持っているところは、生産まで入り込める可能性が大だからです。


今度は設計という観点で考えてみましょう。


設計は、構想設計→基本設計→詳細設計の段階を経て進められます。段階が進むにつれ、当然ですが材料、構造、各部品等々いろいろなことが決められ、設計の自由度も狭められていきます。

こういうことを考えると、できるだけ早い設計段階で食い込むことが出来れば、顧客の信頼を得るチャンスも増えてくるはずです。


また、生産設計に着目し、実際の生産段階で組立て易さ、作りやすさを考慮した設計に対して、提案することが出来ればしめたものです。開発の設計者は、あまり生産のことまで気にしている人がいないので、この点は提案内容が豊富にあると思います。

そのためには、実際に作っている人達の声を聞き入れ、設計に反映させることです。(ここポイント!です。)


以上で今回の内容は終わりにします。次回からは、実際に御社でコストダウンに取り組むのにどのようにやっていくかを述べていきたいと思います。