「SGマークぐらり」の記事を見て

本日の朝日新聞の夕刊一面に「SGマークぐらり」の見出しで記事が載っています。
日本のものづくりの空洞化が、「安全の目印」であるSGマーク付き製品の信頼性を揺るがしているとのことです。2003年度以降のSG製品のリコール31件のうち、8割以上が海外製で発生しているとのこと。

記事を読むと、当初はSG製品としての基準を満たしていたが、製造を続けるうちに品質が劣化したり、「溶接不良」など製造段階でのミスも多いと書かれています。
中国にある工場で製造していたらしいのですが、ステンレスに不純物が混じっていた例も掲載されていました。


中国での生産は製品単価としてのコストは日本国内に比べ安いことが確かに多いのですが、安定した品質を得ることを考えると、注文する側が徹底的に監視するぐらいの気持ちと行動を伴わないと、厳しいのかなと思います。
かなりの日本のメーカーは、何かしら痛い目に合っているのではないでしょうか。以前、コストダウン検討で、中国からの調達を検討していたとき、ステンレスについては待ったがかかりました。その工場では、ステンレスの型番を指定しても、錆びるステンレス部品を入荷した経験があったからです。


中国のメーカーと取引検討中は、商売に結び付けるために、かなりチャンピオンデータ的なサンプル品を提示しますが、それは不良の山の中より良いものだけ選別したものだったりの場合があります。実際に取引を始めると、品質を安定化させるためにはかなりの時間を要したりする場合が多いんじゃないのかな。


このような記事を読むと考えてしまうのは、日本の製造業の先行きです。製品のコストは確かに安価な方が良いかもしてませんが、管理やクレーム対応等含めたトータルコストで考えたときに、本当に海外生産が良いのかどうかということです。


近年、製造業については相対的に生産技術に対して、人、モノ、カネの経営資源の投下が少なくなっているのではないかと感じています。
アウトソーシングファブレスなど、自分たちが造る手立てを持たなくてもよい経営もありますが、日本の場合はそれで良いのでしょうか。


日本経済の復活は製造業にかかっていると思います。このような記事が出たときこそ、もう一度原点に戻って考えてみてみることも必要だと思います。日本の中で生産しても、QCDを満足できるようなことを地道にやっていけないですかね。