スピリチュアルな成長

天外伺朗さん著の「五十歳からの成熟した生き方−スピリチュアルな成長へのいざない」を紹介します。


五十歳からの成熟した生き方―スピリチュアルな成長へのいざない

五十歳からの成熟した生き方―スピリチュアルな成長へのいざない


天外さんの著書は結構読んでいます。初めて読んだのは、講談社ブルバックスの「人材は不良社員(ハミダシ)からさがせ」です。
この本は、「いかに良い老い方をするか」をテーマに書かれた本です。
老い方のパターンとして、干からびる、腐る、枯れるの3つを挙げています。理想的なパターンとしては、枯れるのようです。これは、「枯れる」は、ごく自然なプロセスの一部であり、大地のふところに還って、やがて新しい命をもたらすという、ポジティブなイメージがあること。また、干からびたり腐ったりするのとは違って、ある程度美しいかたちをとどめている感じがするからのようです。

枯れる方向で老いるためには、煩悩を減らさなければならないようです。
そのためには、「成熟した自我」に向かわなくてはならないのですが、自我にはいくつかの基本特性があるようです。本書に書かれている自我の基本特性は次のようなものです。
【自我の基本特性】
1)際限なく肥大し、支配できる範囲を広げようとする。
2)他から管理され、支配されることを嫌う。
3)自分以外のすべての外界や人を、基本的には嫌う。
4)すべてを自分の利益や快適さへの貢献という価値観から発想し、取引をする。自己中心的。
5)愛はなく、執着のみ。

これを超えて、成熟した自我になると次のような特徴を有するようです。
【成熟した自我の特徴(天外)】
1)装わず、飾らず、欠点を含めてありのままの自分の姿を平気で人前でさらすことができる(善人、仁徳者、聖人のふりをしない)。
2)むやみに闘争をしかけない。
3)がんばらない。
4)自分と違う意見や生き方に寛容(多様性を許容)。
5)自分の見解を押しつけない。
6)人を無理やりコントロールしようとしない。
7)目的意識が強くない。
8)自分を空しくすることができ、物事が自然に流れる方向(宇宙の意志)に敏感で、それにそって舵を切ることができる。
9)感じたこと、思ったことを、そのままストレートに外に表明する。
10)他人の情動や感情には敏感だが、他人が自分をどう思うかは一切気にしない。それにより自分の言動は左右されない。人におもねない。
11)過去を悔まない。未来を思いわずらわない。あらかじめ結果がどうなるかを気にすることはない。
12)発生した結果や出来事を、そのまま受け止める。それに対して「良い、悪い」といった価値判断をしない。
13)発生した出来事や、思考する対象に巻き込まれず、突き放して、距離を取ることができる。


この成熟する自我へ向かい、意識の成長・進化のプロセスを進むために、著者は瞑想をすすめている。
【瞑想の効用】
1)日常的なストレスが減る
2)脳内麻薬が分泌されて、気持がよくなる
3)本当の自分を発見できる
4)能力を思いきり発揮できる
5)人生の荒波を泳ぐのがちょっぴり上手くなる
6)母親の胎内にいた感覚を思い出す
7)宇宙と一つとなり、魂のふるさとに還ることができる
8)人生の自然な流れを受け入れ、老いを受け入れられるようになる


このような本を読むと、自分の意識を成長・進化させたいと思うのだが、なかなか雑念から逃れられない。干からびたり、腐ったりせず、枯れた生き方を目指していきたい。